「信仰の目による選択(Ⅱ)」−アブラハムとロト− 創世記13章 2019.8/28(日)

「信仰の目による選択(Ⅱ)」−アブラハムとロト−

                   創世記13章

 カナンの地に住み着いたアブラハムとロトの家族はお互いに豊かな生活を送っていた。ところが、ある時にお互いの牧者同士にトラブルが起こった。そこで、両家族の年長者で、指導的な立場にあったアブラハムは、お互いに分かれて住むことを提案し、しかも新しい土地の選択権を年下の甥のロトに譲った。

 このアブラハムの提案には人間関係がうまくいくヒントがある。まず、自分の主張を脇に置き、自分の権利を押し通さず、相手のことを配慮した結果、お互い争うことなく、トラブルは早期に解決した。

 さて選択を迫られたロトは、自分のために潤っていた低地を選び、自ずと残った土地にアブラハムは移り住んだ。その後、24年の歳月が経った時に、ロトの家族は神のさばきの火で堕落していたソドム人を滅ぼされるという災難に巻き込まれ、妻と多くの財産はソドムの地とともに焼失した。しかし、アブラハムは多くの子孫に恵まれ、彼の子孫からイスラエル12部族、そのユダ部族からダビデ王やソロモン王が生まれ、およそ1000年後にイエス・キリストが誕生。 

 早くに父親を亡くしていたロトは、叔父のアブラハムに頼りがちであったために、叔父さんへの依存性が神への信頼の欠如となったのでは。それゆえに、ロトは霊性より肉性がより優っていたのではと思われる。

 しかし、そのようなロトについてパウロは、「無節操な者たちの好色な振る舞いによって悩まされていた義人ロトを救い出されました。というのは、この義人は、彼らの間に住んでいましたが、不法な行いを見聞きして、日々その心を痛めていたからです。」(第2テサロニケ2章7、8節 第3版訳)とロトを義人と称している。

 一方アブラハムは、虚偽の罪を2回も犯す不完全な者ではあったが、神様の約束を固く信じた。

「彼は、不信仰によって神の約束を疑うようなことをせず、反対に、信仰がますます強くなって、神に栄光を帰し、神には約束されたことを成就する力があることを固く信じました、だからこそ、それが彼の義とみなされたのです。」(ローマ4章20、22節 第3版訳)

 さて、神様は信仰の薄いロトを見捨てることなく顧みてくださった。一方、常に神様のことを大切にしていたアブラハムにも弱さはあったが、神様は彼への約束は必ず果たされた。 

 このように、私たちが信じている神様は、憐れみと恵みに富む愛なるお方であり、みことばに約束されたことは必ず成就される真実なお方であることを、この箇所から教えられる。