「失意の人生からのステップアップ」創世記41章46-57節  2020.5/17港教会

「失意の人生からのステップアップ」  
      創世記41章46-57節

         2020.5/17港教会

 ヨセフは17才の時に、兄たちによってエジプトの奴隷として売られ、ポテファルに7年ほど仕えていたが、ご主人の妻の誘惑と偽装によって、およそ6年間の監禁生活を強いられた。それは、ヨセフにとってはつらい試練の時でしたが、当時世界一の王国の宰相(さいしょう)となるための訓練と育成のために必要な期間だったのです。
「すべての訓練は、その時は喜ばしいものではなく、かえって苦しく思われるのですが、後になると、これによって鍛えられた人々に、義という平安の実を結ばせます。」  (ヘブル書12章11節)
 さらに、ヨセフがつらい経験を通ったのには理由があったのです。それは、やがてエジプトの最高のリーダー宰相(総理大臣)となるためでした。
 かつて、ヨセフが父ヤコブの偏愛と溺愛によって育てられる精神形成では、大国のリーダーになるための資質を身に付けることは出来なかったはずです。 
 しかし、若干17歳からの奴隷生活、その後の監禁生活という厳しい環境の中で不屈の精神が培(つちか)われ、また、王の側近で仕えていた献酌管長、調理管長との出会いによって、王宮内で身につけるべきものを知る良いチャンスとなったはずです。
 つまり、数年間の監禁生活はヨセフにとってエジプトの宰相になるための予備校のようなものだったのです。
 このように、神が備えられた試練は必ず終結し、次のステージ(舞台)へと導かれるのです。
 そのきっかけとなったのが、王の見た夢でした。それは、その後のヨセフの人生を大きく動かすことになったのです。
 さて、王は不思議な夢を見て心が騒ぎ、エジプトのすべての呪法師と知恵ある者たちを呼び寄せたが、だれも王の見た夢を解き明かすことができなかった。しかし、ヨセフはその夢を次のように解いたのです。
 それは、エジプト周辺の広範囲の地域で、7年の豊作と7年の飢饉が来るというものであった。
 その夢の解き明かしは、パロ王と家臣たちの心に叶い、ヨセフは監獄から解放されてエジプトの宰相となったのです。
 ヨセフの夢の解き明かしは、神からのものであり、その能力(賜物)はエジプトで開花したのです。
 しかし、この賜物は彼自身のためだけでなく、故郷イスラエルにいる父ヤコブとその家族が、やがてヨセフと再会するための神からの粋な計らいでした。 
 つまり、ヨセフに与えられた能力は、ヨセフがエジプトの宰相になるためのものではなく、いつしかエジプトでヨセフとヤコブの家族と再会するための神の遠大なご計画が成就するためでした。
 そればかりか、神の民ヤコブの家族が滅びることなく、やがてヤコブの息子ユダの末裔(まつえい)からイエス・キリストが人類の救い主となるという神のご計画が隠されていたのです。
 私たちは、ヨセフあるいは、聖書に登場する多くの人物のような特別な能力や不思議な力は持ち得ないのです。しかし、神様はすべての人を公平に愛してくださっているのです。神の御子イエス・キリストは、特別な人だけではなく、すべての罪人の救いのために死んで下さったのです。
 「私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死なれたことによって、神は私たちに対するご自分の愛を明らかにしておられます。」

       (ローマ書5章8節)
 優れた才能や賜物の有無に関わらず、神様にとって、私たちは価値ある存在です。「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。」  

       (イザヤ書43章4節)
 さて、ヨセフはエジプトの宰相となった後に良き妻と2人の子供が与えられ、名前をマナセ(忘れる)とエフライム(実り多い)と名付けたのです。
 それは、ヨセフが17歳の時から自分の身に起こったつらい経験と苦労をも忘れさせる実り多いすばらしい人生を送ったことの証ではないでしょうか。
 今つらくて、苦しく、悲しいという試練の中にあるという方がおられるかも分かりません。しかし、神様はつらく、苦しく、悲しいと思われる状況の中から、次の舞台(神が導かれる所)へとステップアップ(向上)してくださるのです。《イエスを信じる者がステップアップ(向上)される最終的なステージ(舞台〕は天国です!》。
 ヨセフのように、いかなる状況の中にあっても神様を信頼し続けるなら、決して揺るがされないということを教訓としたいものです❗️
「神こそわが岩、わが救い、わがやぐら。私は決して揺るがされない。」

         (詩篇62篇2節)