「ヨセフ物語」−エジプトの奴隷として売られたヨセフー 創世記37章1―36節 2020.3/1 港キリスト教会

「ヨセフ物語」−エジプトの奴隷として売られたヨセフー 創世記37章1―36節

 創世記37章からは、神様がヤコブの子ヨセフを通して、将来様々な苦難に会うヤコブの家族をいかに守られるかを学んでいきたい。今回は、ヨセフが兄弟たちにエジプトの奴隷として売られた3つの要因について学ぼう。

第1の要因:父ヤコブのヨセフへの偏愛と溺愛のために(2―4節)父ヤコブが偏愛し、溺愛していたヨセフ(17歳)は、素直な子で、行状の悪い兄たちを、いつも父ヤコブに告げ口をしていた。兄たちは生意気な弟ヨセフを毛嫌いし、また妬み憎しんでいた。父ヤコブの歪(いびつ)な愛は、兄たちに妬みや憎しみという罪を芽生えさせた。偏愛や盲目的な溺愛は、自分を満足させても、相互間の関係に悪影響をもたらし、そして双方ともに大切なものを失わせるのである。

第2の要因:ヨセフが兄たちに夢を解き明したために(5―11節)ヨセフは、自分が見た2つの夢について兄たちに知らせたために、兄たちの憎悪をより増幅させた。ところで、ヨセフが見た1つ目の夢は、ヨセフが高くされ、兄たちが低くされるという夢で、2つ目の夢は、父、母、兄たちがヨセフを伏し拝むという夢であった。そのために、父はヨセフを叱責したが、夢を解き明かすという特別な能力を持っていたヨセフに対して、兄たちはより嫉妬し憎しみを抱く結果となった。私たちも、自分には何の賜物もないと思って他の人と比べる必要はない。なぜなら、ペテロは「それぞれが賜物を受けているのですから、神の様々な恵みの良い管理者として、その賜物を用いて互いに仕え合いなさい。」(ペテロ第一4章10節)と教えている。

 第3の要因:兄たちがヨセフを妬み憎しんだために(12–36節)兄たちは日を重ねて、ますます妬みと憎しみが増し、やがて殺意を抱くようになった。ヨセフを殺すことには反対していたルベンが出かけた隙に、他の兄たちは、ヨセフを殺そうとしたが、エジプトの商人に売ることにした。彼らの妬みと憎悪の終着点は存在の否定と殺意であった。

F・Bマイヤーは、『恐ろしい犯罪の起源はここに見る。この罪の芽は、夢見る少年へのいらだたしい嫉妬の形をとって、兄たちの心に発生した。その時、彼らがそれを摘み取っていたなら、それ以上に発展することはなかったであろう。だが悲しいことに、彼らは取り除かなかった。ちょうど食べ物に入れたパン種のように、罪の芽が自分たちに働くままにしておいたのだ。罪のたった一つの芽でも、それがあなたの心に発生して、根を下ろすことのないように注意せよ。そのままにしておくと、必ず破滅を招く、遅かれ早かれ、それは手をつけられないほどの力を帯びて来る。罪と気づいたらすぐ、キリストの尊い血による即座のきよめを求めるが良い。』と注解している。